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音があるほうが静かなのは、なんでやねん

 
静かな静かな 里の秋 お背戸に木の実の 落ちる夜は
 
 みなさん知っている歌、童謡「里の秋」の冒頭部分です。
私はこの歌が大好きで、今みたいに秋めいた季節に入るとよく口ずさみます。これほどこの季節の雰囲気を見事に唄った歌詞は、ないんじゃないかなあと思います。
 
のっけから二度も繰り返し使われている「静かな」という形容詞。
「お背戸」とは裏口の意味だそうで、家の裏口にポトリと木の実が落ちる音さえ聞こえる。そんな「静かな」秋の様子を唄っているものだと思われますが、どうして秋は「静か」なんでしょうか。
 

ところで先日、中秋の名月の日にお月見を楽しんだのですが、そのときも「静かな秋」という言葉がぴったりの夜でした(^^)
ですが、実際耳をすましてみると、鈴虫がリンリン鳴いてるわ、遠くから飛行機の音が聞こえるわ、周りは音だらけ。なのに思わず「静かだな~」なんて言葉が口をついて出るのだから不思議です。
 
日本語の「静か」という言葉は、英語のサイレント(silent)とは少しニュアンスが違うんじゃないかと。
英語でいうサイレント(silent)は、無音を意味しているのに対し、日本語の「静か」という言葉は、どうも<ただ音が無いという状態のことをさす訳ではなさそうです。
 
静けさや 岩に染み入る 蝉の声

有名な芭蕉の句ですが、ちょっとアレ?と思いませんか。「静けさ」と詠っているのに、「蝉の声」という「音」が入っています。セミ・・・けっこうウルサイ声で鳴きますよね(^^;)
 
 
実際というものは、何かひとつでも音があるほうが「静か」だと感じるもののようですね。
一度、音楽の録音スタジオに入らせてもらったことがあるのですが、そこは壁に音を吸収する材質が使われており、もちろん防音も完ペキで外部の音も入らない「無音」の空間だったにもかかわらず、そこへ入ってみると、とても「静か」とは言えません。
音がなさすぎて「耳鳴り」がやまないし、耳の暗闇といえばいいでしょうか、音が無い状態というのは妙に落ち着かないものです。
 
このように、蝉や鈴虫の声、木の実の落ちる音、そういったひとつの音を起点にして人は「静か」だと感じるのであり、
また日本人が感じる秋の「静かさ」とは、秋の落ち着いた空気(触感)であったり、月や紅葉などの風物詩(視覚)、栗の実を煮る匂い(嗅覚)など、五感をフルに使って感じるシチュエーションそのものなのではないでしょうか。
 
中秋の名月は過ぎましたが、まだまだ月がきれいな季節です。
みなさんも、ぜひ日本の「静かな秋」を楽しんでみてください(^^)


 

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2008年09月16日 19:52に投稿されたエントリーのページです。

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