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断るビジネスが繁盛するのは、なんでやねん

 アメックスの商法というのは、

「入ってください、入ってください」と誰でも勧誘しますが、審査で「あなたは駄目でした」と断ってきます。オールカムカムノットユー方式で

 申し込み時にくれる緑のボールペンだけが残ります。

 あるいはイギリスに本部のあるホテルグループ、アンバサダーのプライオリティークラブでは、年間トータル50泊以上、海外で3カ所以上宿泊すると、ロイヤルメンバーとしてワンランク上の部屋に入れてくれて、冷蔵庫の飲み物が飲み放題になります。私は海外の安いグループホテルを探して通いつめて、やっとロイヤルメンバーになりました。海外でも1回は1回ですから、

 これはちょっと穴ですよ。
 
 2万円弱でいちばんいい部屋に泊まれて、冷蔵庫の中身は飲み放題、しかも2人泊まっても同じ値段、朝食も2人分出るようになったのです。50泊まではシンドイようにしてあって、皆そこまで行き着かずに途中で倒れるような仕組みになっています。これが商売のミソなのです。
 
 ところが一昨年より、ロイヤルメンバーが増えすぎたので上位1%の人に限定しますという通知がきました。

 いわゆる99%がロイヤルメンバー失格

ということになったのです。せっかく一生懸命このグループのホテルばかり泊まったのに「なんでやねん」です。
 

 西麻布に行きつけのクラブがあるのですが、

ここの社長がまたやり手なのです。どんどん店を作って会員制にするのですが、いつも混んでいて入会待ちの人がたくさんいるから、3カ月行かないと会員を辞めてくれって手紙がきます。

 「あなたはあと14日で会員ではなくなります」って脅かされる。

入ってくださいというのはよくあるけれど、辞めてくれというのは初めてでした。

 確かに混んでいる店だけれども、お客が入会を待っているというのが本当かどうかはわからない。でも「会員の権利を剥奪する」と言われたら、「行っておかなければイカン」と頭にインプットされてしまいます。会員のシステムをうまく考えていると思います。こういうふうに何か審査や、基準を設けることによって、人というのは意欲がかきたてられる。

 ノーといわれると行きたくなる。
 
そういうものでしょう。「この橋渡るべからず」という立て札に「真ん中渡ればいいんでしょう」と言った一休さんのトンチもありますし、規制すれば必ずそこを通ろうとする心理が働く。

 それどころか、通っているものを止めるというのはどうでしょう。たとえば大店法でも最初は規制していたけれどもオープンにしたでしょう。そしてまた規制して作れないようにした。通っているものをある日突然止められると、人はなんとかしようとする。流れているものを止めたら、お金を出してまでも、なんとかしようとする。これが世の中の原理のようです。

 人がやろうと思うけれどもなかなか出来ない永遠のテーマ、

 これが「ダイエット」と、「英会話」、それに「整理整頓」。

憧れるけど、なかなか出来ない。この三つをビジネスのテーマに選んでいたら、ハズレはないと私はいつも言っています。 この方程式に当てはまる

 「ここまでおいでビジネス」

として、例えば次のようなものがあります。大食いの店で、10人前になるとタダになる。8人前まではいくけど、10人前まではなかなかいかない。そうすると、8人分のお金を払わなくちゃいけない。人間の心理をつかんだうまい商法です。 また英会話やダイエットも同じです。

 もうちょっと、というところで挫折する人がいてもらわないと 
 
困るわけです。それに整理整頓も同じです。スカッとしたファイリングに憧れますがなかなか出来ない。ファイリング・クラークというファイリング専用の資格取得が最近たいへん注目されているのも見逃すことは出来ません。

 (書籍「なんでやねん」より  西川雅夫著/書肆侃侃房)
 
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2007年05月07日 11:19に投稿されたエントリーのページです。

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